人気ブログランキング | 話題のタグを見る
ブログトップ

夏の水

北海道ツーリング 5日目①



7時に目が覚めた。外は変わらず白い雲が空を覆い霧雨が降っている。ただ弱い雨なのでそこまで濡れることも無いだろう。洗濯室へ行き洗濯物の様子をみると皆みごとに乾いていた。恐らく室内干し等の自然乾燥では乾かなかったであろうライダースもすっかり水気が取れている。ほっと安心してこの火力に感謝しながら全て取り込み旅の準備をする。北海道は寒い。旅の前東京は連日30度を超えこれだけ暑い夏なのだから北海道も暑いだろう、そう思いながらも念のため準備した冬用装備は毎日着ている。着込む量が増えるので必然的に時間がかかり出発は8時になった。




北海道ツーリング 5日目①_a0344080_21133215.jpg


とりあえず青い池へ行こう、そう思いバイクを走らせる。雨は多少降っているが昨日に比べると差ほど気になる様な雨量でも無く気にせずどんどんと走らせた。ところどころ牧場が広がり牛がのんびりと草を食んでいる。牛というと白黒のイメージが強いのだが、多くの牛は白い部分が土の茶色にそまり茶黒だった。そんななか牧場の片隅に大きな犬小屋の様なものが大量に経っている。その犬小屋は一つ一つがケージで囲われていてなんだろう、と思い眺めると中から子牛が出てきた。慌ててバイクを停めるとどうやら犬小屋だと思ったものは牛小屋で、一つの小屋に一匹の子牛がいる。子牛達は好奇心が強いのかわらわらと小屋から出てきてケージ越しに私を眺める。なんて愛らしいのだろう。子牛をこの距離で見たのは始めてだった。




北海道ツーリング 5日目①_a0344080_21133345.jpg
北海道ツーリング 5日目①_a0344080_21133314.jpg


遊季館から出て2時間程度で池へ着いた。この池には名前は無いのだろうか。この池は人口でたまたま生まれた代物なので皆青い池やblue lakeと表現する。誘導に従い駐車場へ進むとほぼ満車で多くの人でごった返している。ここの駐車場は整備されておらず全て砂利で雨の為ところどころ水溜りがある。バイク用の駐車スペースも同じで駐車すると私のすぐ隣にまた別のバイクが停まった。そのバイクを見て係員が大きな声でそこでは車の移動の妨げになるからと移動を促す。ついでに私を見て私にも移動を促すが、もうすでにサイドスタンドを降ろしプレートも噛ませている。今更移動するのは面倒だし転倒の恐れもあるのでここならギリギリ問題無い筈、と抵抗をした所しかたないなあ、と云いながら誘導を再開した。




北海道ツーリング 5日目①_a0344080_21194046.jpg

少し申し訳無く思いバイクから離れて係員の側へ行き直ぐに出て行くので申し訳ないがあのままでいさせて欲しい、と謝罪をするとニヤッと笑い、今日は大分人は少ないがいつもはもっと居て大変なんだと雑談を始めた。私から見たら大分多く見えるが彼はこの人数を少ない、という。一体どれだけの人が日々来るのだろう。会釈をし池へ向かう。ここの池は無料で見る事ができるが、彼らの給与はどこから出ているのだろう。みなし公務員なのだろうか、等とぼんやり考えながら先に進む人の後ろを歩く。





北海道ツーリング 5日目①_a0344080_21225680.jpg


池は直ぐに見えてきた。appleの壁紙で有名になったのとまったく同じだ。ただあの写真より若干緑が強い気もする。雨はほぼ止んでいて水は澄んでいる。シアンの色が目に鮮やかで吸い込まれる様な気持ちになる。立ち枯れしている白樺が白く寂しげに輝き目線を外す事が出来ない。シン、と静かになった様だった。できることなら人の居ない良く晴れた早朝ここでゆっくり池を眺めてみたい。

20分位滞在し、経つ事にする。変わらず駐車場は人でごった返していて、間をそろそろと進む。先ほどの係員がいたので大きな声で礼を云う。彼はやはりニヤリと笑い、軽く頷き私を誘導してくれた。そろそろ11時になるので昼食を考え、ふと2日目の夜ジンギスカンをしながら教えてもらったお店を思い出した。地図を確認するとそうは離れていない。雨も落ち着いているし付近でチーズやワインを買う事もできそうなので向かう事にした。




北海道ツーリング 5日目①_a0344080_21133368.jpg

1時間程度走らせ、「くまげら」へ着いた。開店からそう離れていない時刻のせいか並ぶ事なく席につけたが内部はほぼ満席だった。ここは富良野料理を食べさせてくれるお店で、地元の人達から強く勧めてもらっていた。名物だと云う和牛ローストビーフ丼を注文する。引っ切り無しに人が入れ替わり店員さんは皆忙しげに立ち働いている。出てきたローストビーフ丼はほぼ生で、軽く炭火で炙っているのだろう香ばしい匂いがする。山葵醤油をかけ口に運ぶと肉は恐ろしく柔らかく口の中でさっと蕩けていく。甘味のある味わいで夢中でペロリと平らげた。会計を終え外へ出ると行列が出来ている。店頭には小さなブドウが成っていて可愛らしい。バイクに乗り込むとき私のナンバーを見た人から東京の人なの?一人旅なんて凄いね、と声をかけてもらい少し話しをして出発した。



北海道ツーリング 5日目①_a0344080_20420435.jpg


くまげらから20分位で富良野チーズ工房が有る。北海道へ来たら必ずチーズとワインを購入しようと決めていた。わくわくしながら走る。工房はとても大きな施設で直ぐに着いた。入り口にはチーズ公園と書かれた木の看板がかかっている。バイクから降りもうすっかり雨も上がっていて若干暑くなってきていたので合羽を脱ぎ少し身軽になり工房内へ入った。

施設内ではチーズやバターを手作りできる、と案内があったりピッツェリアやソフトクリームのお店があったりと観光客が充分楽しめる作りになっていた。チーズ保管庫や精製室を眺め売り場へ行く。店員さんが牛柄のエプロンを着ていて可愛らしい。試食のチーズが置いてあったのでカマンベールをひとつつまむ。驚く程濃厚でこれはワインが進むだろうと思った。暫く物色し、最初に食べ たカマンベールとネロを使った真っ黒なカマンベール、それとおまけに冷凍の小分けしたチーズケーキも買った。15分位経った頃が食べごろと云われ礼を良い工房を出る。



北海道ツーリング 5日目①_a0344080_20514619.jpg


更にそこから20分程度の所にある富良野ワインセラーへ向かった。丘を登った所に有り若干標高が高い。ぽかんと建っている西洋風のこじんまりした建築物の側にバイクを停め、そのまま中に入る。地下が貯蔵庫という事で降りるも誰もいなくて若干怖い。薄暗い中大量のワインがほこりをかぶったまま保管されている。ステンドグラスに覆われた照明が一筋の光の様に思え何度も眺めてしまう。




北海道ツーリング 5日目①_a0344080_20532030.jpg

直ぐに階上へ戻り2Fへ行くとそこはワイン売り場だった。数多のワインが並んでいてせっかくなのでセラーでしか 変えない限定ワインを赤白1本ずつ求める。ついでにワインが入ったチョコレートも持って会計の男性にチーズと一緒に発送してくれないか頼む。快く受け入れてくれて、チーズ工房と安平町で購入したチーズをまとめて渡し、自宅へ発送手続きを済ませる。ここでも試飲ができる様でぶどうジュースを一口もらった。濃くて心地良い酸味と風味がぎっしりと詰まった味だった。




北海道ツーリング 5日目①_a0344080_20534785.jpg

外へ出ると富良野の街を見下ろす様なテラス席が有り、そこに座る。離れた所に猫が寝ていて見るとは無しに見ながら遠くまで来た事を思う。富良野が眼下に広がり視界が広い。爽やかな風が吹き心が洗われる様だった。持ってきていたチーズケーキを箱から出すと丁度食べ頃の様で一口かじると濃厚なチーズの香りとレ モンの様な爽やかな酸味が口の中に広がった。本当に美味しいのか景観がそう感じさせるのかどちらだろうか。両方か。こんなに美味しいケーキを食べたのはどれ位ぶりだろう。少しずつかじりミネラルウォーターでつるりと流し込んでいく。爽やかなものですっかり満たされ、そこではてこれからどうしようかと考えた。何も考えずここまで来た。今日はどこへ泊まるのだろう。

by delta49032 | 2017-08-13 03:37 |

旅に出ます

by Misaki